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【みなし残業を徹底解説!】制度のメリット・デメリットと違法になるケースも紹介

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みなし残業制度について知らず、働き方について悩む人が多いです。この記事では、みなし残業の基本と運用の実態について詳しく説明します。みなし残業制度の導入や、違法となるケースまでを網羅しています。記事を読むと、みなし残業制度の全体像が明確になるため、実際に職場での運用に役立てましょう。

目次

みなし残業とは

みなし残業とは、労働者と会社が事前に残業代を含んだ固定賃金で合意する制度です。定められた時間分の残業代が給与に含まれるため、労働時間に関わらず合意された残業時間分の賃金が支払われます。実際の労働時間が合意時間を超えた場合は、追加の残業代の支払いが必要です。

一般的な残業代の計算は実際に発生した時間に基づいて行われます。しかし、みなし残業制度では予め定められた時間が計算の基準となります。

みなし残業と通常の残業の違い

みなし残業と通常の残業の違いについて、以下の表にまとめました。

区分みなし残業通常の残業
残業代の計算方法予め定められた残業時間に対して固定実際に働いた時間に基づいて変動
支払い方毎月の給与に含む実際に働いた時間に応じて別途支払う
メリット収入が安定する労働時間に応じた適正な報酬が得られる
デメリット働きすぎの問題が生じる可能性がある収入が不安定になる可能性がある

両制度の違いを理解し、自身の働き方や生活スタイルに合った職場を選びましょう。

みなし残業制度の種類

みなし残業制度の種類は以下のとおりです。

  • 固定残業代制度
  • みなし労働時間制

固定残業代制度

固定残業代制度は、給与にあらかじめ残業代を含める仕組みです。事前に定められた残業時間分の残業代が固定給として支給され、毎月の給与は一定です。月20時間分の残業代を固定で給与に組み入れる場合、実際の残業時間を超えた場合は、超過分の残業代が追加で支給されます。

実際に残業した時間が事前に定めた時間に満たない場合でも、固定残業代は変わらず支給されます。固定残業代制度を導入する際に、従業員の同意が必要です。企業は就業規則に固定残業代に関する条項を記載し、従業員に対して透明性を保つことが求められます。

固定残業代制度は、給与計算の簡略化や人件費の予算管理がしやすい点がメリットです。実労働時間と固定残業代のバランスを管理しましょう。

みなし労働時間制

みなし労働時間制は、労働者の実際の労働時間に関係なく、あらかじめ合意した時間分の賃金を払う制度です。労働時間の変動が大きい職種や、事業場外での作業に多く用いられます。

特に労働時間が不定期な職種では、労働者と使用者双方にとってメリットが期待されます。実際の労働時間とみなし時間との間に大きな差異が生じると問題も発生するため、適切な管理と運用をしましょう。みなし労働時間制には以下の3種類があります。

  • 事業場外労働
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

事業場外労働

事業場外労働は、オフィスや工場などの通常の業務場所以外で行われる労働の形態です。働き方には在宅勤務やテレワーク、クライアント先での作業などが含まれます。事業場外労働を行う際、労働者は自らの労働時間を管理する必要があります。時間管理に対する、適切な指導が重要です。

労働者の健康や安全を守るために、特に在宅勤務の場合、作業環境が労働基準に適しているかを確認、必要に応じて改善しましょう。事業場外労働は労働時間や業務の成果を測定、評価が難しい場合があります。業務の成果に基づく適切な評価基準の設定が重要です。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、特定の専門的な知識や技術を要する業務に従事する労働者に適用される労働制度です。労働者は自らの判断で業務の進め方や、時間の管理を行います。

労働時間ではなく成果に基づいて評価が行われるため、法定労働時間を超えた労働をしても追加の残業代が発生しません。高い専門性を持つ業務の効率化を図り、柔軟な働き方を目的としています。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、企画や提案、研究開発などの業務を行う従業員に適用される労働時間制度です。従業員は自らの裁量で業務の進め方を決定し、労働時間ではなく成果を評価の基準とします。従業員が一定の労働時間を設定せず、自由に業務を進められるため、柔軟な働き方が可能です。

所定の労働時間分の賃金が事前に定められているため、時間外労働が発生しても追加の残業代は支給されません。企画業務型裁量労働制の導入で、従業員の創造性や自主性を高め、効率的な業務遂行の支援ができます。労働者の健康管理や労働時間の適切な管理をしましょう。

みなし残業制度を導入するメリット

みなし残業制度を導入するメリットは以下のとおりです。

  • 人件費の見通しが立ちやすくなる
  • 残業代計算の負担が減る
  • 従業員の業務効率が上がる
  • 従業員の収入が安定する

人件費の見通しが立ちやすくなる

みなし残業制度の導入で、人件費の見通しがはっきりし、予算計画が簡単です。毎月の残業代が事前に固定されるため、人件費を一定額で予測できるようになります。

給与が固定化されるため、予想外の経費増加を防ぐ効果があり、経営側は人件費を事前に見積もりやすいです。長期的な財務計画を立てやすくなるメリットがあります。人件費が安定すると、他の経営資源を効率的に配分できます。

残業代計算の負担が減る

残業代計算の負担を減らすのは、企業の経営効率を向上させる重要な要素です。みなし残業制度を導入すると、従業員の残業時間を事前に設定できるため、毎月の残業時間に応じた計算が不要です。残業代が事前に確定されることで、会計処理や予算管理が簡素化され、経営の透明性が向上します。

労働時間の記録や監査の手間も減少し、従業員と管理者双方にとって負担軽減が期待できます。労働管理の効率が大幅に向上することは大きなメリットです。

従業員の業務効率が上がる

従業員の業務効率が向上できるのが、みなし残業制度のメリットです。従業員は仕事の進め方を自らの裁量で決定できるようになり、モチベーションの維持につながります。余計な会議や中断が減少するため、集中して取り組む時間が増え、効率的な業務遂行が可能です。

自身の作業の優先順位を管理しやすくなるため、重要なタスクに集中して効率的に作業を進められます。仕事とプライベートのバランスが取りやすくなり、全体的な職場の生産性が向上します。

従業員の収入が安定する

毎月同額の収入が保証されるため、家計の計画が立てやすいです。収入の予測がしやすく、家庭内での安心感が得られやすいです。収入の安定は従業員にとって重要で、長期的なキャリア形成や生活の質の向上に直結します。

定期的な収入があると信用力が向上し、ローンの審査などで有利に働く場面もあります。給与が固定されているため、仮に突発的な残業が発生しても収入への影響はありません。

みなし残業制度を導入するデメリット

みなし残業制度を導入する際の、デメリットは以下のとおりです。

  • 人件費が大きくなる可能性がある
  • サービス残業が促進される
  • 帰りづらい雰囲気になる

人件費が大きくなる可能性がある

固定残業代制度を導入すると人件費が大きくなる可能性があります。従業員に固定の残業代が支払われるため、実際の労働時間が少ない月でも同額の残業代が支払われるからです。

労働時間が固定残業代を超えた場合は追加の残業代の支払いが必要です。人件費が予想以上に増加する可能性があります。従業員のモチベーションや生産性が低下すると、不必要な残業が増える場合があります。人件費が増加するため、固定残業代制度は人件費増加のリスクが高いです。

サービス残業が促進される

みなし残業制度の導入によって、サービス残業が促進される可能性があります。あらかじめ定められた残業代を固定で支給するため、従業員が予定を超えて働いても、追加の残業代が支払われません

報酬が増えないにもかかわらず、長時間労働を強いられます。従業員はプロジェクトの完了などの必要から長時間労働を余儀なくされますが、労働に見合った報酬が得られません。サービス残業の促進は従業員のモチベーション低下につながります。

管理職や企業側が従業員に対して残業申請を促さず、みなし残業時間内で業務を完了できない状況を放置するケースもあります。

帰りづらい雰囲気になる

職場が帰りづらい空気になる原因は、従業員同士の労働時間に対する見え方が変わるためです。みなし残業制度下では、全員が同時に退社する文化がなくなります。従業員は、各自が自己管理のもと働いているためです。他の従業員より早く帰るため、罪悪感を持つ場合があります。

上司や同僚がまだ残っている場合、自分も残らざるを得ません。職場全体の労働時間が延びるのも問題です。ワークライフバランスが崩れるリスクが高まり、職場の雰囲気や従業員の士気に悪影響を与える可能性があります。

みなし残業が違法となるケース

みなし残業が違法となるケースは以下のとおりです。

  • 基本給が最低賃金を下回っている
  • 就業規則・募集要項などに必要事項の記載がない
  • 労働時間を正確に管理・把握していない
  • 規定時間超過分の残業代を支払っていない
  • 36協定に違反している

基本給が最低賃金を下回っている

基本給が最低賃金を下回っている場合、みなし残業制度の導入は違法です。最低賃金は地域や業種によって異なります。みなし残業代を含めた給与が最低賃金以上であることを確認しましょう。最低賃金が時給900円の場合、すべての労働時間で金額を下回ってはならないということです。

基本給とみなし残業代を合わせても最低賃金を下回る場合、労働者の権利の侵害となり、企業にとって法的なリスクが高まります。企業は最低賃金法を遵守し、適切な給与体系を保持しましょう。

就業規則・募集要項などに必要事項の記載がない

就業規則・募集要項は、従業員が安心して働くために、必ず確認すべき書類です。主な内容として、以下のものが挙げられます。

  • 給与:基本給、昇給、賞与など、収入に関すること
  • 勤務時間:始業・終業時刻、休憩時間、休日など、働く時間に関すること
  • 残業:残業が発生した場合の計算方法や、みなし残業の有無
  • 休暇:年次有給休暇、慶弔休暇など、休む権利に関すること
  • 福利厚生:社会保険、退職金、交通費など、福利厚生に関すること

法律によって、上記の情報は正確な記載が義務付けられています。記載が不十分だと、従業員からの信頼を損なうだけでなく、法的な問題にも発展するリスクがあります。みなし残業の導入は、条件や計算方法を明確に記載しておかなければいけません。

従業員にとって重要な情報が欠けていないかを確認しましょう。企業と従業員双方にとって有益な環境の維持が可能です。企業は十分に注意して文書を作成しましょう。

労働時間を正確に管理・把握していない

労働時間の記録が不正確だと、実際の労働時間と報告されている労働時間が異なる場合があります。従業員の過剰労働を見逃しやすく、健康問題や過労死などの重大リスクにつながりかねません。労働基準法では、働いた時間に応じた賃金の支払いが義務付けられています

労働時間を正確に把握できていないと、法律違反になり労働者の権利の侵害になります。労働時間の記録が不足していると、将来的に労働紛争の原因になりやすいです。不正確な労働時間の管理は、従業員と雇用主の間での信頼関係を損ない、職場全体のモラルや生産性に悪影響を与えます。

労働時間の正確な管理と把握は、従業員の健康と安全を守り、法的な問題を避けるためにも重要です。

規定時間超過分の残業代を支払っていない

規定時間を超える労働に対して残業代が支払われない場合、労働基準法に違反しています。企業は契約や法律で定められた労働時間を超えた際に、超過分に対して適切な残業代を支払う義務があります。法律で規定されたとおり、残業代の支払いは労働者の権利を守るために重要です。

月に20時間の残業があった場合に残業代が支払われなければ、労働者は報酬を受け取れません。労働者が本来受け取るべき給料が不足する結果となり、生活に大きな影響を与える可能性があります。

未払いの残業代に対しては労働者が請求する権利があり、場合によっては法的な措置も考えられます。企業は労働時間の管理を正確に行い、規定時間を超えた労働には適切に対価を支払いましょう。正しい労働時間管理と適正な残業代の支払いは、企業の信頼性を維持し、良好な労働環境を保つために不可欠です。

36協定に違反している

労働基準法の上限を超える労働は、36協定を締結して厚生労働省に届け出なければなりません。以下のケースは労働基準法違反です。

  • 時間外労働の上限超過:法律で定められた時間外労働の上限を超えて働かせている場合
  • 36協定未締結:時間外労働を行うための協定(36協定)を結んでいない場合
  • 届出義務違反:締結した36協定を労働基準監督署に届け出ていない場合

違反をすると従業員に対する不公正な扱いとみなされ、場合によっては罰則が科せられます。

企業が36協定に適切に対応するのは、法規制を遵守する上での基本であり、従業員の権利を守るためにも不可欠です。適切な労働環境の確保は、働く人々の生活品質を向上させるだけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。
»残業時間には上限がある!制度や対策について詳しく解説

まとめ

みなし残業制度は、あらかじめ決められた時間に対してのみ残業代が支払われる制度です。メリットが存在しますが、デメリットもあります。

みなし残業制度のメリットは以下のとおりです。

  • 人件費の見通しが立ちやすくなる
  • 残業代計算の負担が減る
  • 従業員の業務効率が上がる
  • 従業員の収入が安定する

みなし残業制度のデメリットは以下のとおりです。

  • 人件費が大きくなる可能性がある
  • サービス残業が促進される
  • 帰りづらい雰囲気になる

みなし残業制度を導入する際には、メリットとデメリットをしっかりと考慮し、適切な運用をしましょう

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