退職を考えている人にとって、失業保険は重要な生活保障です。自己都合退職の場合、失業保険がもらえるのかどうか、手続きはどうすればいいのかなど、不安を抱える人も多くいます。この記事では、自己都合退職と失業保険に関する基礎知識から受給条件、手続き方法、受給中にできることまで詳しく解説します。
本記事を読めば、自己都合退職後の失業保険について理解が深まり、安心して退職の準備を進めることが可能です。自己都合退職でも、一定の条件を満たせば失業保険を受給できます。会社都合退職と比べて給付制限があるため、注意しましょう。
自己都合退職と失業保険の基礎知識

自己都合退職と失業保険について知っておきたい基礎知識は、以下のとおりです。
- 失業保険とは公的保険制度の1つ
- 自己都合退職とは労働者本人の事情で退職すること
- 会社都合退職と自己都合退職の違い
失業保険は働く人を守る制度ですが、自己都合退職の場合は注意が必要です。会社都合と自己都合では扱いが大きく異なるため、両者の違いについて退職前に理解しておきましょう。
失業保険とは公的保険制度の1つ
失業保険は、労働者の生活を守るための重要な制度で、国が運営する雇用保険制度の一部です。失業保険の主な目的は、失業時の生活保障と再就職支援です。失業した人々は、失業保険によって一定期間、経済的な支援を受けられます。
労働者と事業主が共同で社会保険料を負担して、一定の条件を満たせば失業時に給付金を受け取れます。失業保険の受給には条件があり、原則として1年間受給が可能です。年齢や雇用保険の加入期間によって、給付日数が変わる場合があります。
失業保険を受給するには、再就職活動を行うのが条件で、ハローワークへの定期的な求職活動の報告が必要です。
自己都合退職とは労働者本人の事情で退職すること

自己都合退職は、労働者が自分の意思で会社を辞めることを指します。個人的な理由や都合による退職であり、会社側からの要請や圧力がない自主的な決断での退職です。自己都合退職の主な理由には、転職や結婚、育児、介護などがあります。
自己都合退職は会社都合退職と比べて、退職金や失業保険の条件が不利になるので注意が必要です。自己都合退職を希望する場合、原則として2週間前までに会社に退職の申し出をする必要があります。退職後の再就職活動に影響するので、慎重に検討することが大切です。
自己都合退職は労働者の権利として認められているので、必要に応じた退職の仕方を選びましょう。
会社都合退職と自己都合退職の違い
会社都合退職と自己都合退職は、退職の理由と失業保険の受給条件に、大きな違いがあります。会社都合退職は、企業の経営上の理由によって退職することです。退職後すぐに失業保険を受け取れ、退職金が支給される可能性が高くなります。再就職支援などのサポートを受けることが可能です。
自己都合退職は、労働者の個人的な理由で退職することを指します。自己都合退職では原則として失業保険の受給に、3か月間の給付制限期間があります。退職金が減額されたり、支給されなかったりするケースもよくあるため注意が必要です。次の仕事の紹介などのサポートは、少ない傾向にあります。
履歴書への記載についても、会社都合退職と自己都合退職では印象が異なります。会社都合退職は、納得しやすい理由とされることが多いですが、自己都合退職の場合は退職理由の詳しい説明が必要です。
» 失業保険で会社都合が認められるケース
自己都合退職の失業保険の受給条件

自己都合退職の場合の失業保険の給付条件について、以下の2点を解説します。
- 受給資格を満たすための条件
- 自己都合で退職した場合の給付制限
受給資格を満たすための条件
失業保険を受給するには、公平性と制度の適切な運用のために設けられている条件を、満たす必要があります。雇用保険に加入していることが前提です。離職前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることが求められます。
ハローワークに求職の申し込みをし、積極的に求職活動を行う意思と能力があることもポイントです。就労の意思と能力がある点も条件の1つです。失業状態にあって65歳未満である必要があります。条件を満たせば、失業保険の受給資格を得られます。自己都合退職の場合は給付制限があるので注意しましょう。
失業保険は、制度を適切に運用し、本当に支援が必要な人を助けるために受給条件が設けられています。
自己都合で退職した場合の給付制限

自己都合で退職した場合、失業保険の受給には3か月の給付制限期間があります。退職してすぐには、失業保険を受け取れません。給付制限がある理由は、自己都合退職を抑制し、安易な離職を防ぐためです。正当な理由がある場合は、給付制限が適用されない場合があります。
正当な理由としてみなされるのは、以下の理由があります。
- セクハラ
- パワハラ
- 長時間労働
- 賃金未払い
給付制限期間が終了すると、通常通り失業保険の受給が可能です。給付日数は退職理由に関わらず一定で、離職日から1年間が受給期間となります。給付制限期間中でも、求職活動は可能です。
自己都合退職の場合も、失業保険の受給資格を満たしていれば、必ず給付を受けられます。給付制限期間を乗り越えれば、次の就職までの生活を支える大切な収入を得られます。
» 失業保険を受けるための条件&受給金額の計算方法
自己都合退職の失業保険の受給手続き

自己都合退職後の失業保険受給手続きには、ハローワークでの求職申込みと、失業認定申請の手続きが必要です。以下のポイントに分けて解説します。
- 必要書類の準備
- ハローワークでの手続き
手続きには必要書類を提出したら、給付制限期間を経て受給開始となります。受給資格の有効期間は離職日から1年間なので、退職後はすぐに申請しましょう。
必要書類の準備
失業保険の受給手続きを行うには、必要な書類をきちんと準備することが大切です。手続きをスムーズに進めるために、準備が必要な書類は主に以下の7つです。
- 離職票
- 本人確認書類
- 写真2枚
- 印鑑
- 銀行通帳またはキャッシュカード
- マイナンバー確認書類
- 雇用保険被保険者証
必要書類は、ハローワークでの手続き時に提出が求められます。離職票は、会社から受け取る重要な書類です。本人確認書類には運転免許証やマイナンバーカードなどが使えます。写真は3cm×2.5cmサイズのものを、2枚用意しましょう。印鑑は認印でも構いません。
銀行通帳またはキャッシュカードは、失業保険の振込先口座を指定するために必要です。マイナンバーが確認できる書類も、忘れずに準備します。雇用保険被保険者証を持っていない場合は、提出不要です。書類の準備ができたら、ハローワークでの手続きを行いましょう。
事前に書類をチェックして漏れがないか確認しておくと安心です。
ハローワークでの手続き

ハローワークでの手続きは、失業保険を受給するために必要です。離職票を持参してハローワークに来所し、窓口で失業認定申告書を記入しましょう。本人確認書類を提示した後、雇用保険受給資格者証の交付を受けてください。失業保険制度や求職活動の進め方について説明が受けられる、初回講習を受講します。
講習後は求職申込書を提出すると、失業認定日が指定されます。手続き完了後は、定期的に指定された失業認定日にハローワークへ来所し、失業の認定を受けましょう。
失業の認定を受けるには、求職活動状況の報告も行う必要があります。ハローワークで受けられる就職活動の相談や職業紹介を活用して、より効果的な就職活動を行いましょう。
» 失業保険の申請手続き|受給条件や計算方法を解説!
失業保険受給中にできること

失業保険を受給中でも、アルバイトやパート、職業訓練はといった活動は可能です。活動によってスキルアップにつながり再就職の可能性を高められるため、積極的に取り組みましょう。収入を得る活動には、制限があるので注意が必要です。
アルバイトやパート
アルバイトやパートをしながら、失業保険を受給することは可能です。失業保険の受給中でも、一定の条件内であれば働けます。収入が基本手当日額の1.3倍以下であれば、失業保険は全額支給されますが、超える場合は減額支給となります。以下の点にも、注意が必要です。
- 就労日数や時間
- 収入の報告
- 課税対象
就労日数や時間によっては、失業認定を受けられない場合があります。収入はハローワークに報告しなければなりません。アルバイト・パートで得た収入は、課税対象です。短期や単発のアルバイトも可能ですが、正社員への転職活動を継続するのが重要となります。副業規定に抵触しないよう、注意しましょう。
失業保険受給中にアルバイトやパートをすれば、生活の安定を図りながら、次の就職に向けてスキルアップや経験を積めます。
職業訓練

職業訓練は失業保険を受給しながら、スキルアップできる貴重な機会です。無料で参加できるので、経済的な負担を抑えつつ、新しい技術や知識を身に付けられます。ITや介護、事務などさまざまな分野の訓練コースが用意されています。
訓練期間は1〜6か月程度が一般的で、再就職に役立つ実践的なスキルの習得が可能です。訓練手当の支給を受けられる場合もあるため、ハローワークで詳しく相談しましょう。訓練修了後は就職支援サービスも利用できるので、再就職への道が開きやすくなります。
失業保険の給付金額と受給期間

失業保険を受給するときには、以下の2つを理解しておくことが重要です。
- 給付金額の計算方法
- 受給期間と延長条件
失業保険は次の仕事を見つけるまでの生活を支える重要な制度なので、内容を把握しておきましょう。
給付金額の計算方法
給付金額は、離職前6か月の平均賃金をもとに計算されます。平均賃金の50〜80%が支給されますが、給付率は年齢や被保険者期間によって変動するので注意が必要です。離職時の賃金を30日で割って賃金日額を算出し、賃金日額に給付率をかければ、基本手当日額がわかります。
1日当たりの基本手当日額には、上限があるので確認しましょう。60歳以上65歳未満の人は、別の計算方法が適用されます。高年齢求職者給付金の金額は一律です。短期雇用特例被保険者の場合は、賃金日額の50%が給付されます。
年齢や雇用形態によって適用される計算方法が変わるため、自分のケースに合わせて確認しましょう。
受給期間と延長条件

失業保険の受給期間は、原則として1年間です。年齢や状況によって延長できる場合があります。45歳以上65歳未満の人は最長330日まで、60歳以上65歳未満の人は最長240日まで受給可能です。高い年齢層の人は、再就職に時間がかかる可能性が高いため、配慮した日数となっています。
障害者や傷病者、雇用状況が厳しい場合、育児・介護休業を取得した場合は、60〜120日の範囲で受給期間を延長できます。妊娠や出産、育児により離職した人は、お子さんが1歳に達するまで延長可能です。受給期間内に就職できなかった場合でも、30日間の延長が1回だけ認められています。
30日間の延長制度は、就職活動に追加の時間が必要な人のための措置です。失業保険の受給期間は、個々の状況に応じて柔軟に設定されています。自分の状況をよく確認し、必要な場合は延長申請を検討しましょう。
» 失業保険の受給期間|離職理由による違いをわかりやすく解説!
» 退職前に知っておきたい!失業保険の受給できる条件と期間を解説
自己都合退職の失業保険に関するよくある質問

自己都合退職の失業保険について、よくある質問は以下のとおりです。
- 受給中に起業してもいい?
- 海外移住後も失業保険は受けられる?
失業保険には注意点や条件があるため、不明な点はハローワークに相談しましょう。
受給中に起業してもいい?
失業保険受給中に起業することは基本的に可能ですが、注意点もあります。起業後も求職活動を続ける必要があり、収入が発生した場合は必ず申告しなければなりません。申告した収入額によっては、失業保険の給付が減額される可能性があります。事業収入が一定額を超えると、失業保険の受給資格を失います。
起業準備中は、失業認定を受けられる場合があるので、ハローワークに相談しましょう。起業後も失業認定を受け続けるには条件があり、週の就業時間が20時間未満などの制限があります。起業の形態が個人事業主か法人かによって、扱いが異なる場合もあります。
起業を考えている場合は、事前にハローワークに相談し、適切な手続きを確認しましょう。正しい手順を踏めば、失業保険を受給しながら起業の準備を進められます。
海外移住後も失業保険は受けられる?

海外移住後は、求職活動を行うことが困難と判断されるため、原則として失業保険を受給できません。海外に居住しながら日本国内で求職活動を行うのは、現実的ではありません。
一時的な海外渡航の場合は、例外があります。3か月以内の短期滞在であれば、事前にハローワークに相談すれば受給が認められやすい傾向です。日本の労働市場への即時対応が証明できれば、帰国後に手続きを再開し、残りの期間分を受給できます。海外移住を考えている人は、移住前に失業保険の受給を終了させておくのがおすすめです。
まとめ

失業保険は公的保険制度の一部で、自己都合退職の場合でも一定の条件を満たせば受給できます。しかし、自己都合退職の場合は、給付制限があるので注意が必要です。受給手続きには、ハローワークでの手続きと必要書類の準備が欠かせません。失業保険を受給中でも、アルバイトや職業訓練を受けられます。
給付金額と受給期間には、計算方法と条件があるので把握しておきましょう。起業や海外移住を考えている場合は、失業保険の受給に影響する可能性があるため、事前の確認をおすすめします。自己都合退職後の生活を安定させるために、失業保険の制度を理解し、活用しましょう。

